新シリーズ 楽しい京都弁講座 Vol.3【きづつない!】
皆様、ごきげんよう。
大石天狗堂広報の藤澤です。
本日も宜しくお願い致します。
京都に桜の綺麗な季節がやってまいりました。
桜もあちらこちらで咲きはじめ、やっと春って感じです。
まだまだコロナ禍の影響で、京都旅行するのは気が引けるかもしれませんが、一人一人のコロナ対策を徹底して頂いて、観光を楽しんで下さいね。
さてさて新シリーズも早三回目となった【楽しい京都弁基礎講座】
今回のテーマは『きづつない』
意味は、(申し訳ない)(気が引ける)(心苦しい)といった、遠慮や恐縮する事を表しています。
語源は『気術無い』からで、「そんな高価なモン(物)を貰(もろ)たら、気づつないわぁ」(でもありがとう)と言った使い方です。
この『心苦しい』と思う気持ちは、誰しもありますが、京都の方は口に出してよく言います。
それは、京都人気質といいますか、長い歴史も影響している気がします。
【京都人のイメージ】として、よく言われるのが(裏表がある・本音と建前があって怖い)ですよね。
これには、京都に帝が住まれていた事が関係しているんじゃないかと思います(あくまで私感)
京都は、桓武天皇が平安京に都を移されてから明治維新まで時の天皇(帝)のおられる日本の中心地でした(794~1869年)。
その為、時の権力者が帝のおそばで権力・権勢をふるう為に集まり、その権力闘争などから戦が絶えない地でした。
「この前まで将軍様は〇〇さんやったけど、今度は〇〇さんって人に替わりはったらしいで」
そんな風に、コロコロと権力者が替わる為、誰とでも上手く付き合い、仲良くなっていないといけない状況でした。
昨日まで敵対していた陣営といえど、いつ手を組むか分かりませんでしたからね。
それに陰口がいつ相手に伝わるか分からない、ある意味殺伐とした状況でもありました。
ですから本音と建前で人に接し、決してもめごとを起こしたり、相手の気分を害するような発言をしない会話をしてきたんでしょう。
「嘘も方便」それも上手くコミュニケーションをとる方法の一つだったのではないでしょうか。
京都人の気質を表すお話で有名なのが「京都のぶぶ漬け」のエピソードがあります。
ぶぶ漬けとは、お茶漬けのことで、京都のお宅に訪問し用件もとっくに終わり長居する客がいた時「ぶぶ漬けどうどす?」とお客に聞きます。
「じゃお言葉にあまえて」と待っていても、ぶぶ漬けはいっこうに出てきません。
実はこれ「早く帰ってね」という暗黙の意味なんです。
「は?そっちがぶぶ漬けどう?って聞いたよね?だから待ってたんですけど?」などと怒ってはいけません。
訪問先にだって都合がありますよね。
しかしいくら用件が済んでいても「そろそろ帰って貰えませんか?」とは言えません。
そんな事を言うと感じ悪いですからね。
だから、そこまで言わないうちに、自分で気づけよと!
「めっちゃシンドイ!」
「めっちゃ分からん!」
「どうせならハッキリ言って貰う方が気が楽やわ!」
そうなんです。
メンドクサイんです。京都は。
でも、なれてくればコミュニケーション能力がアップする事間違いなしです。
「よく気が利く」
「なんも言わんでもやってくれる」
「一言えば十やってくれるから助かる」
これらは、すべて京都人なら当然のスキル(そうでない人や、一回りして敢えて分からんふりする人もいますけどね)。
外国の方にとっては、そういうところが理解できないかもしれません。
反対にそういった気遣いが出来ないコミュニケーションスキルゼロの相手を、非常に嫌います。
京都人「うちの子なんて全然勉強せェへんかったのに、運よく同志社大学に受かりましてんえ!」
これって謙遜で言ってますから!
ここは、「凄いですね!」と言うのが正解です。
間違っても、
「凄いやないですか~同志社なんて!うちなんて家がビンボーでお金かけられへんよって、国立の京大に行ってますねん」なんて言ったら最後、もう二度と口きいてもらえません!
すこし例が分かりにくかったかもしれませんが、「気を術せよ!(心苦しがれ)」ちゅー事ですわ。
ダラダラと長い文章を、最後まで読んで頂いて、ほんとに「気づつないわぁ」
#気づつない
#ぶぶ漬けなんて出て来たためしない
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#794~1869年