2013年10月15日 ニュースブログかるた全般花札

皆さんこんいちは。
広報の藤澤です。

宜しくお願い致します。

 

花札の10月の高得点札『鹿に紅葉』

数ある花札の絵柄の中でもよく目にする一枚かと思います。

hanafuda

相手を無視する行為を(シカトする)というのは、この10月札の鹿の顔が、ソッポを向いているのが語源と言われているのは有名である。

シカ⇒鹿
ト(トウ)⇒十
っちゅうことですね。

ではなぜ、(鹿)と(紅葉)の組み合わせになったのでしょうか。

これにも、毎回お馴染みの歴史的なエピソードがあります。

 

【伝(傳)説三作石子詰之跡(でんせつさんさくいしこづめのあと)】むかしむかし。

奈良の興福寺の菩提院大御堂(俗に十三鐘と呼ばれる)のそばの寺小屋に、三作(さんさく/十三歳の少年)という子供が手習いをしておりました。

そこへ、庭先から一頭の鹿がやってきて、縁側に上がり込み、置いてあった大切な草紙(習字の半紙)を食べてしまいました。

三作は、追い払うつもりで(ケサン=文鎮)を投げつけると、運悪く鹿の鼻ずらの急所にジャストミート!

可愛そうに鹿は、死んでしまいました。

(筆という説もあるが筆ではいくらなんでも死なんでしょ ケンシロウや範馬勇次郎じゃあるまいし)

春日大社の鹿を殺した者は、【石子詰め(いしこづめ)の刑】に処せられるのが昔からの決りであり、幼い子供であっても神鹿を殺した罪は免れませんでした。

三作少年を、一丈三尺(約三メートル/年齢が13歳だったので、それにちなみ穴の深さが決まっていたそうです)

深い穴の中に、死んだ鹿と抱き合わせにして入れ、頭の上からむしろを被せ、小石や砂利や瓦などを入れて生き埋めにしたそうです。

今では考えられません!
生きたままですよ‼

母一人、子一人の二人暮らしだった三作少年の母(おみよ)は、気が狂わんばかりに悲しみ、許しを乞いましたが許されず、三作は死んでしまいました。

その後 三作の母親は、死んだ我が子の供養にと、紅葉の木を植え、三作の霊を弔う為に、明けの七つ時(午前4時)と、暮れの六つ時(午後6時)に鐘を撞いて供養に勤めたところ、49日目に観音様(稚児観世音菩薩)が現れました。

この言い伝えから、これを十三鐘と称したそうです。

(三作の刑が行われたと言われる場所)

 

※奈良の猿沢の池から東にあるく、観光客の多い場所にあり、そんな悲劇の舞台とは思えないところでした。

その後、境内に十三重塔が建ち、近松門左衛門が世話浄瑠璃『十三鐘』として発表し、後の世まで有名になりました。

子を持つ親の心情や、その時代の風習の残酷さなど、浄瑠璃を通し多くの人々の涙を誘う物語が江戸の巷で大人気の作品となりました。

ここには『自分が生きている間は線香の一本でも備える事ができて良いが、死んだら神鹿殺しの罪人の墓といずれ忘れられる運命。ならば紅葉を代わりに植え、線香とした』と言われ、いつまでもこの可哀そうな三作少年の菩提を弔うつもりで門左衛門さんも作品にしたのやもれません。

 

また『奈良の早起きは、万が一自分の軒先で鹿が死んでいてはまずい』という発想から、他人が起きだす前に起きる風習にもつながったのも、この三作少年の話が元になったとか。
例えば、朝起きて自分ちの前で鹿が死んでいたら、こっそり隣の家の軒先に…なんて事もあったのでしょうね。


それほど、奈良の鹿は神聖な霊獣という存在だったのでしょうね。

 

そして丁度、花札の図案を考えていたかるた職人たちのインスピレーションに『10月の代表的な美しい植物(花)』『鹿と紅葉』が閃いたのかもしれません。

そう思って10月札の絵柄を見ると、鹿の『つーんと、ソッポを向いたすまし顔』が、『三作の冥福を祈る穏やかな顔』にもみえますよね。

 

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