大石さんに聞いてみよし!『花札の鬼の図柄は何?』
皆さんこんにちは。
広報のFです。
よろしくお願い致します。
もうすぐ始まる『京都マラソン2018』
皆さんも走ってみたいですよね。
でも、毎日ジョギングに汗流している方でも、フルマラソンだと尻ごみされるかもしれません。
【マラソン】【競技】【タイム】等、フルマラソンへの不安やプレッシャーは、未体験の方なら誰もが持たれるのではないでしょうか。
当然、レースですから自分の限界にチャレンジする事は素晴らしいです。
しかし、例えばこんな考え方だと、違った京都マラソンの楽しみ方が、出来るのではないでしょうか。
『普段、車が走っている道路を、自分のペースで走りながら風景を楽しむ』
『周りを走る、今日初めて会ったランナーと数時間の共有体験が出来る』
マラソンを人生に例える人もいますが、この『むりせず自分のペースで』 『仲間と共有する喜び』という事も、長い人生では、掛け替えのない財産となることでしょう。
走る喜びは人それぞれ。それも人生と一緒ですね。
さらに、東日本大震災や熊本の被災地への復興支援に力を入れている京都マラソン。
今年も、義援金の寄付を募っておられます。
熱い思いが被災地にも届くよう、皆様よろしくお願い致します。
さてさて、表題にもあります『花札の鬼の図柄は何』という案件です。
まず、花札に鬼の札なんてありました?と思う方もいるかもしれません。
(11月札)のカス札の一枚で、他三枚は柳の図柄に傘を差す着物姿の人の絵などですが、一枚だけ赤と黒の雰囲気の違う札があります。
これは、【鬼札(おにふだ)】と言い、『柳に雷』『化札(ばけふだ)』とも言います。
トランプのジョーカーのような役割で、『雨』以外のどの札にも、合わせる(喰う)ことの出来る万能札です。
この【鬼札】
『何故、他の雨の札と一枚だけ絵柄が違うの?』
『(雷)や(かぶり傘)の絵柄は、どんな意味?』
という疑問がわきます。
これには、花札の歴史が関係してきます。
[仮説①] 江戸時代~明治までの花札の雨のカス札は、【鬼札】は含まず、【雨の降る柳の絵】と【雨の降る柳と短冊の絵】の二枚でした。
しかし、花札の違う遊び方に、(ムシ)等の鬼札を特別に使用するする遊び方があり、おそらく他のルールでも使えるようにと、絵柄が変った(ミックスした)のではないでしょうか。
実際、小野道風も明治以降の絵柄で、それより前は斧定九郎でした。
(絵柄が変った理由は、また違いますけどね)
[説②] 江戸時代、花札は御禁制の品でした。
人の多い江戸の町や、京都・大阪など幕府の目が多い賭場では、取締りが厳しく、地方の賭場に出向き荒稼ぎするプロ博徒が居た事でしょう。
しかし、その地方の賭場にも(しきたり・ルール)があり、それを無視してトラブルに発展する事も容易に想像が付きます。
なのでトラブルが起きないよう、その賭場独特のローカルルールで勝負し、よそ者を排除していた可能性もあります。
その為、地域ごとに絵柄や遊び方に違いがあり、その一つが【鬼札を使用した遊び】になったのかもしれませんね。
[説③] 飛躍した発想ですが、元々花札のルーツはポルトガルからやって来た、カードゲーム(南蛮かるた)です。
当然持って来たのはポルトガル人の宣教師や商人や船乗り。
南蛮商人や船乗り達は、母国から持ち込んだ【カードゲーム(南蛮かるた)】を、航海中だけではなく日本に上陸した後も、夜な夜な手慰みに遊んでいたのかもしれません。
※南蛮かるたの他にも、様々な南蛮文化が流入しました。てんぷらや、金平糖、カステラ等の【食文化】、外科手術などの【南蛮医学】、遠く航海をして教えを広めていた【キリスト教】。(もしかすると宣教師達も、夜な夜な?)
ポルトガル人からカードゲームを教わった日本人がどっぷりはまり、広く普及して行きましたが、その後のキリシタン禁止令により、この南蛮かるたで遊んでいる事自体、南蛮人との関係を疑われ、キリシタンと同一視され弾圧されたのかもしれません。
その取締りの目を盗む為に絵柄を変えたのが、現在の花札の絵柄に繋がっていったのかもしれません。
[説④] 花札の絵柄に江戸時代に中国からもたらされた(南宋画)の影響を受け、多く用いられていますが、雨にしだれる柳(静)と雷(動)の対比の構図があったのかもしれません。(私は知りませんので、お詳しい方ご教授下さい)
[説⑤] 花札のルールで【表菅原(おもて)】【裏菅原(うらす)】と言う役があります。
これは、人形浄瑠璃や歌舞伎の演目として有名な『菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)』というお芝居から発案されています。
このお芝居は、菅原道真をモデルにした創作ですが、江戸時代の人気演目で、悲劇の偉人・菅原道真をしのぶ人が多かったので出来たのでしょう。
『鬼札』の図案を、この菅原伝授手習鑑つながりで、『雷』=『菅原道真』=『鬼』と推測する方もおられます。
[説⑥] かるたのルーツの一つに【道才かるた】と言う物があります。
このカルタは、読み札62枚と絵札62枚(内、道才番号8と、20を抜くそうですが、意味が解からず)が一対になっていて、ひとつのことわざを上の句、下の句に分け、上の句を読み札に、下の句を絵札にしてあります。
読み手は、上の句だけの読札で下の句もよまなければならいという、百人一首のような遊びです。
この道才かるたには、(道才番号:30、33、54、61=四化け札)(道才番号:30、33、46、50、54、61=六化け札)という特別な力がある(喰い札)と言います。
さらに、ことわざの中に、(道才番号30:鬼も十八)と(道才番号:50幽霊の浜風)という札があり、これも特殊な力のある札です。
この道才かるたの(化け札)(鬼)(幽霊)の特殊ルールが、花札の鬼札を使ったローカルルール(喰い)によく似ているらしく、なんらかの影響(なごり)があったのかもしれません。
上記の説のどれが正しいのか、すべて正解なのか、真実は分りませんが、色々と歴史のある物を研究する事は、ワクワクするものですね。
宜しければ、参考にしてみて下さい。
【シリーズ過去掲載ページ】
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