花札の謎シリーズ!6月札『牡丹に蝶』前篇
皆さんこんにちは。
広報の藤澤です。
よろしくお願い致します。
京都の町も、すっかり蒸し暑くなり、もうすぐ夏がやってくるのかと感じさせます。
でも昼間の暑さから一転、日が沈むと肌寒く感じる気候は、まだ5月なんですね。
さてさて、本日のお題は、花札の絵柄でも、一際派手な図案【牡丹に蝶】のお話です。
江戸時代の浮世絵師 葛飾北斎が70歳前半に描いたとされる『牡丹に蝶』に現されているように、非常に優美でいて豪華、”動”を感じる構図であり被写体です。
まずこの6月札の花:牡丹
例にもれず、非常に有用で根の皮に【消炎、鎮痛、止血】の効能があるとされています。
日本でも日常生活だけでなく、城や屋敷に植え、戦などの非常時に備えたのでしょうね。
また実用だけでなく、見た目の美しさや花の豪華さから『百華の王』とまで言われていました。
百獣の王と言えばライオンですが、百花の王とはまた凄い肩書きをお持ちだったんですね。
そうなると、不老長寿の象徴の松(1月札)や菊(12月札)、日本人の心の花とも呼べる桜(3月札)より、牡丹の方が立場が上なのでしょうか?
牡丹の別名も「二十日草」「忘れ草」「天香国色」 「名取草」「富貴草」「富貴花」「花神」「鎧草」「ぼうたん」「ぼうたんぐさ」「百花王」「花王」「花中の王」「深見草」など多数あり、花札の中でもここに来て、いきなり主役級の存在感をあらわしています。
一時期、中国の国花になるほど愛された牡丹ですが、その中国文化が、鎌倉時代に禅思想と共に日本にやってきました。
日本に来た中国文化、禅思想に牡丹は多く使われており、その高貴さや艶やかさなどが、意匠にも使われるようになったようです。
鎌倉前期の関白:猪隅関白こと近衛家実が車紋に使用した事から近衛氏の定紋となり、やがて近衛家・鷹司家の家紋として使用されるようになりました。
その後、天皇家の菊紋・桐紋についで高貴で権威のある家紋として認知さるようになりました。
戦国時代には近衛家との姻戚関係などを利用して、近衛家と誼を通じ、家格を上げたり政治的優位性を計算した大名などがあり、こぞってこの家紋を望んだようです。
伊達家、島津家、鍋島家、津軽、東本願寺家などが牡丹紋を使用していましたが、前述の近衛家との姻戚関係などで手に入れた、いわゆる『家柄』や『箔(はく)』というシロモノなのでしょうね。
長くなりましたので今回はここまで。
次回は、『牡丹に蝶』の蝶の方の話です。
お楽しみに~
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